新鹿の珪線石と紅柱石
(三重県熊野市新鹿)
熊野市、尾鷲一帯の花崗斑岩には、捕獲岩起源の珪線石や紅柱石、菫青石などの大きな結晶が見られることでよく知られています。「東海地方鉱物採集ガイドブック」と20年前に出版された「鉱物採集の旅−東海地方をたずねて」とを比較しながら、訪ねてみました。
12/29(土)
昼すぎ、熊野に着きました。まずは、鬼ヶ城見物へ。案内に従って入口広場へ。そこで駐車料金500円を取られました。遊歩道を歩き出すと、すぐに「危険なため通行禁止」の札がさがっていて、なにを見に来たのか分からない・・・駐車料金にもつい愚痴が。
気をとりなおして、新鹿の採石場へ行きました。途中の大泊の採石場は、「ガイドブック」の解説によってパスしました。新鹿の郵便局をすぎて里川の橋の手前を上流に向かって上ります。道なりに進むと石切場に到着です。現在、石切場を通る道が熊野と尾鷲を結ぶ国道につながっています。石切場に柵はなく、連絡場所も書いてありませんでした。そこで、ハンマーは持たずに、くず石をいただくことにしました。
運良く、積んであった石をどけた跡らしいく、こぶしくらいの大きさで薄くはがれた石がたくさん集まっている場所がありました。じっくり、石の裏表を観察しながら捜していきました。黒い縁取りを捜すのですから簡単です。灰白色で光沢の強い珪線石、淡い赤色の紅柱石、丸っこく灰青色の菫青石が見いだされました。どれも標本としては美しい物です。また、同じく捕獲岩起源の赤色のざくろ石も取れました。十分満足のいく採集でした。約1時間の採集の後、「かえろかな」と考え出した頃、前の広場に軽トラックが停車し、地元の人らしい人が下りてきました。あいさつをすまして、話を聞くと、正月飾り用の松の枝を集めているのだそうです。採石場については、「最近はほとんど機械を動かしていないようだ」とのことでした。
(平成13年)
参考図書 鉱物採集の旅 東海地方をたずねて (築地書館)
東海地方鉱物採集ガイドブック (七賢出版)
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