粟代鉱山の硫砒鉄鉱
(愛知県北設楽郡東栄町振草)
奥三河に伝わる奇祭「花祭り」で有名な東栄町に、現役で絹雲母(きらら)を掘っている鉱山があります。(株)三信鉱工粟代鉱業所です。そこの硫砒鉄鉱や輝安鉱は昔からよく知られています。
10/18(月)
鳳来町本長篠から東栄町に向かって151号線を北上しました。まだ、紅葉には早いようですが美しい渓谷に沿って道は延びています。東栄町に入ると道路脇に、三信鉱工の看板がちらほら目につきます。町役場のある本郷をすぎて、中設楽から振草に変わる付近に左に入る道があり、同鉱工への入り口を示す案内板があります。その道に入っていきました。ものの5分走ると左手に同鉱工のビルが建っています。そこの事務所で「石拾い」を申しでたところ、快く許可してもらえました。最近、立入禁止の鉱山が多く、少し不安であったので嬉しくなりました。すぐ前の細い道を上るとすぐに鉱山がありました。現場の人に一声かけて、すぐに道路脇に積み上げられているズリに取りつきました。肩ほどの小山が4つほどの規模です。まず正面奥の真っ白で新鮮な小山を調べました。6面体や12面体の黄鉄鉱がきらきら輝いています。ほとんどが5ミリ以下、大きくても1センチの大きさですが形がしっかりしていて、いろいろなバリエーションがあり、とてもおもしろいです。ピンセットを持ってこなかったことが悔やまれます。約1時間夢中になって拾い続けました。ところが・・・、ところが、肝心の硫砒鉄鉱が見つかりません。硫砒鉄鉱はどこだ。目を皿のようにして探しても黄鉄鉱が光るだけ。鋼灰色に輝くものがありません。隣の山に移動するがありません。そのまた隣に移動するがありません。最後に一番右手の小山に移動しました。顔がズリ山につくくらい真剣になりました。「あった!」。
目印の菱餅型の鉱物が確かにあります。ただし、真っ黒で光沢もありません。取り上げて指の先でもむと、不思議なことに鋼灰色に輝きます。それからは次々と見つけることができました。と、いっても黄鉄鉱ほど多くはありません。指でもむときれいに菱餅型になるものと、なかなか母岩から離れないものがあります。大きさは、やはり5ミリ前後のものが多いです。指の痛さも忘れて、拾ってはもみ続けました。結局、1時間以上拾い続けました。他の鉱山へ行く予定があったので、昼過ぎに切り上げました。そんなわけで、輝安鉱のほうはよくわかりませんでした。
一応、目的の鉱物を採集することができ、秋の気配も満喫していい気分でした。後は帰るだけです。しかし、帰路に大暗転が待っていたのです。この日から、東名高速集中工事が始まったのです。高速上で延々時速10キロの大渋滞に巻き込まれてしまいました。あー、思い出したくない。
参考図書 鉱物採集の旅 東海地方を訪ねて(築地書館)
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