ボリビアの鉱山を訪ねて(2) by  松村 剛



  今春、オルーロのカーニバルを見るため、ボリビアを2年ぶりに訪れました。カーニバルまでの間、かつて訪れたオルーロのサンホセ鉱山以外に、近郊の鉱山へも行って見ました。そのときの様子を報告します。




2月10日(土)     ポーポの鉱山

   オルーロから南に50kmの位置にある鉱山町ポーポを土曜の午後訪れました。ポーポチャリャパータ行きのバスに乗ること約1時間、国道沿いの寂しい停留所にバスは停車しました。隣の乗客に「ここはどこか?」と聞くと「ポーポ」、慌てておりました。山側に選鉱所らしき施設が見えたのでそちら側に向かうと、住居が見えてきました。町中を通りぬけると山裾に大きな鉱山が見えてきました。事務所に写真撮影の許可を取りに行くと「禁止」。仕方ないので、山裾に沿って奥へと歩きました。すると山腹にたくさんの坑口が見えてきました。一番手前の坑口にたどり着くと、ちょうど一人の鉱夫がでてきました。口はコカの葉をいっぱいくわえて、こぶのようになっています。二人で100m先を掘っているといいます。写真を撮らせてもらいました。
さらに山腹を道沿いに上っていくと今度は10人ばかりが坑口付近で休憩しているのに出会いました。皆さん手にはコカの葉が入った袋を持って噛んでいます。写真を撮らせてもらいました。ここの鉱山は方鉛鉱が主鉱物だそうですが、言葉がよく通じないので、詳しいことは分かりません。さらに上って行き、数カ所のズリから方鉛鉱の結晶を採集しました。
余談ですが、ここでは温泉が涌いていて、坑内から温水プールや温泉施設までパイプを引いています。温泉施設は4カ所の個室があり、家族連れが利用していました。4m四方の湯船に約40度のお湯が盛んに流されています。ただ、お湯の中で体を洗うようになっているので、お湯は濁っていますが、、、。順番がきたので、とてもいい気分で、ひとりお湯につかりました。
日が傾いてきたので、国道の停留所までの長い道のりを歩いていると、町の中から突然バスが現れました。オルーロ行きだといいます。ラッキーとばかりに飛び乗りました。



  

2月13日(火)     ウアヌニの鉱山

   オルーロから南東50kmにある鉱山町ウアヌニは、昨年10月労働者どうしの対立で多数の死傷者を出し、日本でも報じられました。
ウアヌニ    12月末の新聞では、鉱山は国営化され5000人を雇用して再出発したと報じていましたが、最近の報道によると、まだ1300人が働けない状況で、軍と警察が出動して警戒にあたっているとのこと。
    多少争乱に巻き込まれる不安はありましたが、オルーロのバスターミナルでは、バスが普段通り頻繁に出ていましたので、思い切っていくことにしました。
   約1時間で到着。坂道を上っていくと、鉱山会社の正門前に、100人以上の人たちが列を作っています。門の前は警官が従業員の出入りを管理しています。当然中には入れないので、右手の橋を渡って、川沿いの道を奥に進みました。選鉱場全体が見えるようになってきました。大きな施設です。写真を撮ってさらに道を進みました。
   両側の山に小規模の坑口がたくさんありそうでしたが、会社側の山”Cerro Possokoni”に川を渡って上ってみました。大きなズリには、ズリを掘り返した跡があちこちに見られました。
   私の実力では閃亜鉛鉱しか見つけられませんでしたが、日本と同じで、石英中に出てきました。また、硫化鉄の入った石英中にはなく、あちこちに捨てられていました。
   高地のため、息が上がって、立ちくらみが頻繁に起こるようになってしまいました。鉱夫の人たちへのおみやげ用に持っていたコカの葉を30枚ばかり口に入れて噛むと、たちどころに直ってしまったのにはびっくりしました。
   雲行きが怪しくなりポツリポツリと雨が降ってきましたので、山を下りました。正門前に戻ると3時間前に並んでいた人たちが窓口でちょうど給料をもらっているところでした。
   





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