太海のソーダ沸石
(千葉県鴨川市太海)
この夏、房総半島の最南端、館山市に用事で出かけることになりました。館山まで行くのは初めてのことなので、帰りがけのわずかな時間、鴨川の採石場によって、沸石を探してみました。
8/17(木)
館山市から国道128号線を鴨川に向けて車を走らせました。しばらくすると海岸沿いを走るようになります。太平洋の高波が押し寄せる砂浜でちらほら海水浴客が水遊びをしています。今回の資料は30年前に発行された「鉱物採集の旅 関東地方とその周辺」だけです。東関道のサービスエリアでもらった道路地図(これはとても参考になります)と照らし合わせ、外房線が鴨川手前のトンネルに入るあたりから海岸沿いの旧道に進むべしと読みました。予想通り太海トンネルに入る直前に128号線から海岸の方に進む道がありました。しばらく進むと標識があり左方向「富山町」の方へ進みます。200mも進むと右手に採石場が見えてきます。
さっそく事務所を訪れましたが、17日まで盆休みを知らせる紙が貼ってあり、7,8台のダンプも整然と並んで駐車したままです。困って柵のない入り口付近でバラスを眺めていたところ運良く採石場の方が私用で立ち寄られたので、わけを話して採集の許可をいただきました。採石場内の細かく砕いた石を見て回りましたが結晶のはっきりした物は見つけられませんでした。最後に奥の崖の近くに行きました。崖の下に落ちている灰褐色の泥質岩に網目状についている白い脈をじっくり見ていくと、ところどころに隙間ができていて結晶が見える部分が見つかりました。
ルーペは持っていませんでしたが、ソーダ沸石に間違いないようです。時間がなく長さ3cm位にわたって空隙のできているもの1個を大切に包んで帰路につきました。
家に帰って顕微鏡で見てみると柱状のソーダ沸石と母岩の上には方沸石が見られました。ソーダ沸石は大きな物で3mm程度の長さですが無色で透き通っていてとてもきれいです。縦に条線があり、頭はピラミッド型と思っていましたが、ほとんどが寄せ棟造りの屋根のようでした。方沸石は最大で2mmにも充たない物です。(写真の下部右半分)しかし透明感はソーダ沸石以上で条線がなくざくろ石と同じ形でころころしていてダイヤモンドのようで眺めていて飽きません。
(平成12年)
参考図書 鉱物採集の旅 関東地方とその周辺 (築地書館)
ポケット図鑑 日本の鉱物 (成美堂出版)
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