五良津山の変成鉱物(愛媛県四国中央市土居町五良津山)

 関川上流の五良津山は東赤石山などから運ばれてくる変成度の高い岩石がたくさん見られるところです。数年前に真夏の採集。うだるような暑さに懲りて、今回は冬の採集計画としました。


12/27(金)

 国道11号線の新居浜市を過ぎて小さな山を越えたあたりに「関の原」バス停があります。そこを右のわき道には行っていくと右手に谷が見えます。高速道のガード下をくぐり車1台しか通れそうもない小道を谷川(関川)に沿ってどんどん上流へ進みます。五葉松を栽培している部落を抜けると未舗装の道になります。最近はどこの山に入っても舗装された道が多いので少しびっくりしました。愛媛県はお金がないのかな。河又を超えて未舗装の道をどんどん進むと突然ミキサー車に対面。狭い道をバックしなければなりません。谷に落ちないかひやひやです。ようやくすれ違ってまた前進。上流に上流にと。と、またもやミキサー車と対面。今度はバックしてくれたよ。またまた上流に向けて前進。おっとまたもミキサー車に遭遇。たまたま待機場所があり、そこですれ違い。あーもういやだ。と、上流に行くのはあきらめて、川が大きく二またに分かれる少し手前の広場に駐車しました。
 砂防ダムで何段も区切られた河原に下りて、採集を始めました。角閃石片岩に散在する大きく赤い鉄ばん石榴石がたくさん見られます。濃緑色の中に入っている赤褐色の石榴石はとてもきれいです。そうこうしていると、ちらちらと雪が降ってきました。寒さはどうにかもちこたえられるものの、山を下りられなくなると大変です。急がなくては。 苦ばん石榴石
 今回のお目当ては榴輝岩です。一番上のダムの川が分かれる真下の場所にそれはありました。ハンマーを力一杯ふってかけらを一つ手に入れることができました。それは何度も写真で見続けた物そのものでした。薄緑色の輝石と薄い赤褐色の苦ばん石榴石が印象派の絵のように鮮やかに混ざり合った美しい物です。もう一つと思って何回かハンマーをふりましたが大きな石からはかけらが取れそうもありません。少し残念だったけど一つで我慢することにしました。家に帰ってからのことですが、もう一度見なおすとハンマーを当てた新鮮な面は薄暗くなっていて鮮やかさはなくなっていました。
 さらに200メートル下ったところに紅れん片岩の露頭があります。最近叩いた人がいるようで、新鮮で美しい紅れん石が落ちていましたので一つ拾いました。こちらは肉眼で見て美しいだけでなく、家に帰って実態顕微鏡で見たところ板柱状の真っ赤な紅れん石が見事に散らばっていてそれはすばらしい物でした。
  広場前の透緑閃石産地の谷を上りましたが、岩は苔むし透緑閃石は見あたりませんでした。場所が少し違ったのかもしれません。次の機会に再挑戦したいと思います。雪もだんだん強くなりそうだし、ミキサー車もみんな通らなくなったのでそろそろと思い山を下りました。
 

(平成14年)


続 五良津山の変成鉱物(リベンジの透緑閃石)

12/20(日)

 午前中に、別子鉱山記念館へ行きました。新居浜を含む別子山全体を掘り進めた大事業とその歴史にただただ驚くばかりです。
 早めにうどんを食べ、透緑閃石を見つけ損ねた場所へ、もう一度チャレンジすることに。「採集の旅」に掲載されている地図はすごく丁寧で正確なことは今までの経験から知っていたので、現在の地形図と比べて位置を書き入れました。予想通り、新しい道ができていて依然探した位置より上方だと分かりました。 透緑閃石
 かつて通った道を進み、現地に向かったのですが、大川の部落をすぎると、進入禁止の掲示が目に入ってきました。道路が脆弱で危険なためらしい。しばらく進むとまた掲示があったにで、安全のためそこで車を降りて歩くことにしました。河又を通ってつづら道を進むこと1時間余りで現地に到着しました。結局、路肩が少し崩れているところもありましたが、ほぼ車で来ることも可能だと分かりました。
 まず透緑閃石の産地へ。ちょろちょろと流れる小川の近辺を探しました。小さな結晶が少しついているの物は見つかるものの満足できるものではありませんでした。小一時間探した後、こんなものかなと引き上げようとしたその時、大きな結晶のかたまりが目の前にあるではありませんか。これだ!これが欲しかったんだ!感情が爆発しました。
 浅黄色の柱状結晶が団子状になったもので、部分的にエメラルド色をした透明な結晶もあります。特に見つけたときは、濡れていたため、色が鮮やかでした。
 次は砂防ダム下部の河原での鉱物採集です。が、わたしの思い違いだったのか、それとも大型機械で底をさらったのか、以前のように石が多くありません。たくさんあった緑色片岩の中の美しい石榴石もほとんど見つかりません。こちらは、残念な思いをしました。産地の様子は毎年毎年変わっていくっていうことが、よく分かりました。はい。


PS 東平の藍晶石

 次の日、マイントピア別子に行った後、東平の藍晶石の産地に行ってみました。ここも以前、場所がよく確定できず失敗に終わったところです。同様に地形図に場所を記入しました。こちらも新しい道路ができ、様子が変わっていました。その位置をカーナビにインプットしたので、見間違うことはありません。掘り進めて少しくぼんだ崖の中に角餅ほどの大きさの藍晶石が浮き石となって乗っているのが見えました。壁は、落石防止のため、二重の金網で囲われていて中に入れません。少し先の谷間に棒を探しに行ったところ、ゴミが捨ててあってその中に鉄パイプの物干し竿がありました。それを半分に折りちぎり、網の隙間から石を叩いて落としました。浮き石があったこと、たまたま鉄パイプがあったこと全くのラッキーでした。  

   (平成21年)

参考図   ポケット図鑑 日本の鉱物 (成美堂出版)

                鉱物採集の旅 四国・瀬戸内編 (築地書館)

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