上佐野の透輝石(山梨県南巨摩郡南部町上佐野)

クロムを含む上佐野の透輝石露頭は、山梨県の自然記念物に指定されているため、採集はできません。しかし、指定されている露頭の下流でも十分採集できます。

3/26(日)
 ポケット図鑑「日本の鉱物」掲載の透輝石の写真を眺めているうちに、なんとしてもほしくなり、2週間前、とるものもとりあえず、上佐野に行ってみました。内船駅から地元の人の案内に従い、落石がぱらぱらと見える断崖絶壁の町道をこわごわと進み、約50分で上佐野に着きました。いつもながら資料は全く持たず、それらしき岩盤を調べましたが、ほとんどが礫岩で見つけられませんでした。と、言うわけで反省し、帰宅後、「地学のガイド」と地形図を買って綿密に調べ、今日を迎えたわけです。
 まず目を養おうと自然記念物の「標識」を探したのですが見つかりません。1時間余り探しましたが、結局見つけられませんでした。仕方なく、下流の州で透輝石を探しました。一見、馬糞のような粘土質から透輝石を見つけましたが、透輝石は5mm足らずで、しかもぼろぼろと崩れてしまいます。「日本の鉱物」の物とは雲泥の差です。「こんな物だったのか」とがっかりし、帰ろうと車に戻り、もう一度「地学のガイド」を読み返してみました。その中の採集現場の写真を見るとなんだか違う場所のようです。「もう1度だけ、もっと下流に行って探してみよう」と力を入れ直しました。透輝石 下流の「下野」バス停の先(共栄商店の前)に佐野川にかかる鉄橋が見えたので、左に曲がり製茶組合の倉庫に車を止めました。鉄橋を渡り、コンクリートの堤に沿って上流方向の端まで行き、直ぐ下の岩脈のある場所におりました。ラッキーなことにその岩脈こそ大きな透輝石を多量に含んでいたのです。しかも、手で土をもむと透輝石が壊れることなくでてきます。きれいな緑色をした物もあります。さすがに3cmのものは見つかりませんでしたが、最大2cm位はあります。お宝ざくざくのこの感激こそ鉱物採集の醍醐味です。ハンマーで粘土質のかたまりを無造作に叩くので、大きな物は壊したりもしました。化石を取り出すような慎重さがあれば・・・。とにかく日の暮れる前の1時間弱、時間との戦いでした。奥深い山の中のこと、日の暮れるのも早く、直ぐに薄暗くなり終了となりました。
  なお、今回の地点も「地学のガイド」の採集現場とはどこか違うようです。時間がなく、仕方ありませんでしたが、鉄橋よりもう少し上流を調べるとよいかもしれません。また、付近には、方沸石や角閃石が点在するホルンフェルス露頭もあるとのことです。
参考図書         地学のガイド 山梨県(コロナ社)
   ポケット図鑑 日本の鉱物(成美堂出版)

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