木浦鉱山の異極鉱
(大分県南海部郡宇目町)
木浦鉱山は古くから錫を掘っていた大きな鉱山でした。あちこちにズリが残っていて何度訪問しても楽しいところです。今回は、異極鉱の産地・ワンドウ坑とスコロド石の産地・ダツガタオのズリ山へ行って来ました。
1/2(日)
三重町から326号線を通って宇目町に入りましたが、今は道路が広く整備され直線コースになっていて、木浦鉱山への分岐点まで15分、そこから鉱山まで15分で行けるようになりました。郵便局などのある木浦鉱山の集落を橋の前で左折し、長栄館(旅館)、エメリー作業事務所を抜けると橋を渡る手前に大切谷を上る急斜面が正面に見えてきます。ここからは徒歩で上っていきます。あいにく小雨が降ったり止んだりの天候で傘をさしての採集となりました。約50メートル上ると神社があり、そのむこうの谷はコンクリートで整備されています。コンクリートで作られた階段を下り左側の谷沿いに進みます。直ぐに谷が2つに分かれますが、右側のケダイ谷を10メートルも進めば赤褐色の褐鉄鉱が散らばっています。そのあたりから息を切らせながら急な右斜面を登っていきますと、褐鉄鉱の中に異極鉱の白い結晶が多く見られるようになります。図鑑に載っているような大きくて良いものはじっくり探す必要がありますが、それなりのものは結構拾うことができます。記念として一つだけ球状に集まっているものを袋に入れてきました。
雨も止んだので谷の分岐点まで下り、対岸のズリにも行ってみました。銀白色の砒鉄鉱、緑色の濃い孔雀石を拾うことができました。駐車場所まで下り、ダツガタオへ向かいました。斜面いっぱいのズリです。一番上まで急斜面をはうようにスコロド石を探しながら上りましたが、今回も全く見つけることはできませんでした。上りはどうにか足を滑らせながらも上ることができたのですが、下りはズリを下りられません。結局尾根づたいに杉の木をだくようにしながらやっとのことで下りることができました。日も暮れ薄暗くなってきたので、今回は囲山や茸が迫には行けませんでした。普段の日ならば、白滝のエメリーを採掘しているところに行けば、エメリーをわけていただけると思います。
PS 若山ニッケル鉱山跡と鷲谷クロム鉱山跡について
326号線が整備されたので、両鉱山跡にも直ぐ行けるようになりました。三重町方向から峠の中ノ茶屋トンネルを抜けると直ぐに左側に自動車1台が通れるほどの道があります。その急坂を下りていきます。道なりに約2キロ進むと右手の谷が整地されたような場所があります。ここが鷲谷クロム鉱山跡と思われます。蛇紋岩がたくさんあり、がけから石を取ると表面が白っぽくなったものがあります。ルーペで見ると絹糸光沢で花が咲いているように美しい結晶が見られます。水苦土石です。若山ニッケル鉱山跡は、木立の中に石英の表面が独特の緑色に染まった露頭はありますが、採集できるものはありませんでした。
PS この時期、盛んにイノシシ狩りが行われています。猟犬を乗せた軽自動車にあうことはたびたび。山の中でも鉄砲を持った人に会うこともあります。あちこちで猟犬のほえる声が聞こえます。くれぐれも目立つ服装をして採集してください。
参考図書 鉱物採集の旅 九州南部編(築地書館)
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