三尾の自然銅
(奈良県吉野郡東吉野村三尾)
「宝石探し」によると、三尾鉱山は、別子鉱山と同じく、三波川変成帯にできた層状含銅硫化鉄鉱床だそうです。黄銅鉱や斑銅鉱、自然銅などを掘っていたようですが、目玉はやはり自然銅です。取れるか銅(?)か分かりませんが、とにかく行ってみました。
12/28(金)
高速道路のSAでもらった道路地図を見ながら、桜井市から大宇陀町、菟田野町の役場前を通り、東吉野村鷲家で小川に入りました。あとは「宝石探し」の地図通りに進みます。三尾の集落一つ手前に大きな廃屋があり、対岸にズリが見えました。長靴に履き替えて、川岸に下りていきました。水量は多くはないものの、膝くらいまでの深さがありそうです。普通の長靴なのこれではわたれません。上流に行ったり下流に行ったりして浅いところを捜しましたがありません。大きなゴミ袋でも持ってくればよかったです。意を決して、裸足で渡ることにしました。川の中間あたりに来たとき、足は冷たさから痛みに変わりました。とにかく進むしかありません。岸に着くまで20秒くらいだったと思いますが、その間、痛さはますます増して不安がよぎるほどでした。冬の海に投げ出されると10分ともたないと言われるのが分かるような気がしました。
さて、ズリは大きく、とりあえず右下の方で採
集を始めました。鉄さびのついた石が多く、遠目には自然銅とわかりにくいので、孔雀石のついている石を捜すようにしました。これがよかったと思います。すぐに、銅赤色をした細かい箔がたくさんは入ったものを見つけました。斑銅鉱の錆色である青紫色の箔などは全くなく、自然銅に間違いないようです。約1時間で2個ほど採集できました。
いよいよ帰る時間になりました。再度、川を渡る勇気はなく、結局植林された山を登り始めました。急勾配の山で息を切らせて上りました。3、40分上ると、スギの管理に使っていると思われる小道に行き当たりました。最初は下流方向に行きましたが道はとぎれていました。引き返し上流方向に進みました。20分くらい進むと尾根づたいの広い道にたどり着きました。ほっとしながら三尾の集落に下りることができました。
(平成13年)
参考図書 関西地学の旅 宝石探し (東方出版)
日本の鉱物 (成美堂出版)
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