尾平鉱山の斧石(大分県大野郡緒方町)

尾平鉱山は錫や銅、鉛、亜鉛などを採掘した鉱山で、古くからたくさんの人によって変化に富んだ鉱物が採集されてきました。山深いところで現在では人家はほとんど残っていません。今回はハジカミ谷と銀じきに行って来ました。

1/3(月)
 緒方町から原尻の滝そばの高千穂に通じる1,5車線の県道を行くこと50分で尾平に到着します。舗装はしてあるもののくねくねした道がいつまでも続く昔ながらの道です。もみじ屋(旅館)前を通り、尾平鉱山廃水施設への道を右に見ながらしばらく進むと、右方向に入るコンクリートで舗装された道があります。そこを入っていくと、左手に荒れ果てた神社があります。まず、ハジカミ谷に通じる神社左横の道を、真っ直ぐ上っていきました。道は荒れ果て、竹林の中では枯れた竹が乱れ、行く手を遮ります。植林された杉林では、間伐された杉や枝が横たわり、行く手を阻みます。今年は異常に暖かな気温で、汗だくになりながら上っていきました。上ること30分、右手に錫鉱脈を掘った巨大な八番鉱口が見えてきました。ずっと地面を探しながら上ってきたのですが、電気石程度しか見あたりませんでした。鉱口前でも鉱石らしいものはなく、がっかりしました。ただ、大きな鉱口が見学できたことは、多少の慰めになりました。ここで、もと来た道を神社まで引き返すか、そのまま上って県道にでるか迷いましたが、悪路を引き返すのがいやになり、結局上ることにしました。これが大失敗。植林されている急坂を、上れど上れど果てしなく、ますます急な勾配になり、引き返そうにも下りられない。斧石結局、30分余り悪戦苦闘しながら上り続け、やっとのことで県道にでたのです。それから県道を歩いて元の神社まで下ったのですが、これに30分かかりました。
 昼食用のパンを食べて心機一転、銀じきに向かって神社の手前から左に進む道を上りました。 朽ち果てた人家跡をすぎると、これまた道はわからなくなり、竹藪と植林の倒木や枝に道を遮られました。がむしゃらに左へ左へと上っていきましたが、鉱石らしいものは相変わらず見つけられません。巨大な岩を目標に近づいてみましたが、どの岩の周りにもなにもなし。半ばあきらめ半ば未練がましく、銀じきMAPまたまた懲りずに上の県道に向かって地面を探りながら上っていきました。どうも引き返せないのは習性のようです。ガードレールが見え、いよいよ終わりかと思い始めたった時、植林された道沿いに石を割った跡が見つかりました。よく見ると、その一帯ズリがたくさんあります。飴色の石榴石や灰緑色の灰鉄輝石、黒色柱状の珪灰鉄鉱、そして紫褐色ガラス光沢の斧石が見られました。一通り採集した後、県道に上がりました。結局、ズリへは、県道の方から下りた方が遙かに近道でした。県道からの地図を載せておきます。ここから神社までまた県道を30分かけて下りましたが、今度は「やった」という満足感に満たされ、夕暮れの祖母山系を眺めながら下りることができました。
参考図書  鉱物採集の旅 九州南部編(築地書館)

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