山宝鉱山の灰鉄ざくろ石と磁鉄鉱(岡山県川上郡川上町)

今年の連休は、布賀のスカルンに行くことにしました。途中に、山宝鉱山があることを知り、訪れてみました。「岡山の鉱物」によると、この鉱山は「磁鉄鉱、黄銅鉱を主要鉱石とし、多くのスカルン鉱物を産出。特に、磁鉄鉱とざくろ石の結晶が多産するので有名。」なのだそうです。

5/3(水)
 高梁市から国道313号線を井原市方向に、さわやかな風を受けて車を走らせました。成羽町役場をすぎ、しばらく行くと備中町方面に分岐する信号機のある場所に出会います。ここで右折すると直ぐに駐車休憩の場所があり、車を止めました。ここからまわりの新緑を眺めながら歩きました。50m先の大きな橋を渡り、上流に向かって300mくらい歩くと左の川側に5台分くらいの駐車スペース、右側に山道が見つかります。山道を登っていくとすぐにズリにあたります。ここからは道らしい道もなく、ただひたすら急なズリを立木につかまりながら登るしかありません。息を切らせて石垣が組んであるところをなんどか越えると黒いパイプが消え、ようやく到着です。そこでは、地元の方が一人、石を叩いておられました。あいさつもそこそこに、持ってきたパンとジュースで昼食。やっと一息ついて採集開始。黒くて重い石は一見して磁鉄鉱、ところが表面の結晶を見ると正三角形の面をもつ正八面体ではありません。菱形が組み合った十二面体だったのですが、「磁鉄鉱=正八面体」と思いこみの激しい性格から、「これは何だろう。磁鉄鉱はどこにあるのだろう」と磁石を忘れたことを悔やみながらさまよいました。灰鉄ざくろ石 褐色の灰鉄ざくろ石はすぐに見つかりました。こちらも斜方十二面体でガラス光沢、大きくて1cmでしたが、中が緑色に変化しているものもありました。灰緑色の灰鉄輝石が長柱状になって集合しているものも見られました。方解石がきれいだったので3cm角に割って持ち帰りました。今回は良品を探すと言うよりも、同定の練習をしたようなものでしたが、のんびり楽しみました。

PS 布賀と「吹屋ふるさと村」について
 次の日、布賀に行きました。案内図や解説は全く持ち合わせていませんでしたが、前日買った「岡山の鉱物」のなかにわずかに「布賀の露頭は‥‥備中町黒鳥から布賀部落に通ずる急な山道を登りつめたところの道路沿いやその周辺に分布する。」の記事を頼りに探しました。一番の目的だった紫色のスパー石が採れました。紫色が脈状に薄く覆っているものですが。
 採集が終わってまだ日も高かったので、「吹屋ふるさと村」観光に行くことにしました。黒鳥から約20kmでしたが、信号機が全くなく、快調に車を走らせることができました。吹屋は古くからの吉岡銅山の町であり、銅山の捨て石である磁硫鉄鉱からベンガラを生産し大いに繁盛した町でもあったそうです。町並みはしっかりした作りの家が続き、当時の繁栄が偲ばれます。あまり観光化していないところも好感が持てます。ベンガラ工場を復元した「ベンガラ館」と吉岡銅山の支山「笹畝坑道」に入ってみました。坑道の中は13度。なんどか低い天井にヘルメットをこすり、黄銅鉱などを見ながらまわりました。帰り道、吉岡鉱山跡に行きました。すごく大きな施設だったようで、ズリもあちこちにあります。夕日に照らされた敷地をひとまわりして帰途につきました。 
参考図書         地学のガイド 岡山県 (コロナ社)
    岡山文庫 岡山の鉱物 (日本文教出版)

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