志津木鉱山のアタカマ石(山口県萩市大字山田字小原)

 「日本の鉱物」(成美堂出版)に本鉱山のアタカマ石が紹介されています。昨年は探査失敗。で、今年も懲りずに再挑戦です。
 


8/13(土)

 昨年は、志津木(鉱山)=指月(萩城のこと)と単純に考え、耐え難い暑さの中、萩城跡の周りの海岸を歩き回りました。当然失敗。反省して、今年はインターネットでいろいろと情報を集めました。結果、赤鼻の方の海岸とわかりました。
  当日は山陰線に沿って車1台ほどの細道をどんどん進み、半島にぶつかるところで、小さなスペースに駐車しました。夏とはいえ、去年ほどの猛暑ではありません。いろいろ調べはついているので楽勝気分で、ペットボトルのお茶だけ携えて、トンカチも持たずに海岸を歩き始めました。アタカマ石
  海岸には、たくさんの白っぽい石に混じって、ぼちぼちと緑色で覆われた小石が現れ始めました。この緑色の小石を拾って観察しながら進んでいきます。私の今までの経験による鑑定では、すべて孔雀石にあたります。緑色の皮膜状の鉱物はすべて孔雀石と思っていましたから。 そうこうしている内に、コンクリートの支柱が見えるところにきました。そこは海水が入り込み、もう先には行けません。
  「あれ、アタカマ石は?」これでは、またまた探査失敗になってしまいます。そこで、木陰に入って考えました。確かチリのアタカマ石の標本は深緑色で透き通った柱状結晶だった事を思い出し、ともかく、緑の特に濃い小石を探して持って帰ることにしました。ルーペも持って来ていないのですから、いい加減です。
   さて、家に帰ってから実態顕微鏡で調べました。持ち帰ったものは、確かに色は薄緑ですが、小さい柱状形の集合で成り立っています。色が薄いのは粒が小さいからでしょう。ただし形はシャープでなく丸まっていますが。さらに、塩酸をかけてみました。もちろん孔雀石は泡を盛んに出しましたが、持ち帰ったものは反応がありません。この鉱山からの産出鉱物は、そのほかには藍銅鉱、胆礬などとのことですが、この二つは色が違います。よって持ち帰ったものは、晴れてアタカマ石の栄誉が与えられました。
  
 
 
 
 
 

                                                                        (平成23年)

参考図   日本の鉱物 (成美堂出版)

                

INDEX へもどる