台湾の旅
by 松村 剛
近年、花粉症のため3月の鉱物採集は困難になってきている。今年は花粉が大量に飛ぶらしく、2月下旬に鼻が詰まってきた。緊急避難として、台湾行きを考えた。格安航空券を買って1週間後に飛び立った。
3月06日(木)
金瓜石へ
鉄道で一周しようと、まず基隆に向かった。ガイドブックによると、近辺の観光地である九ふんと金瓜石は戦前金鉱石の採掘で栄えたとこらしい。
と、いうことで、次の日まず金瓜石に向かう。電車好きの私は基隆から瑞芳までの切符を買う。(実際は九ふん、金瓜石行きの直通バスが出ている)ところが路線がどうなっているのか、普通列車に乗って行けども行けども瑞芳に着かない。とうとう台北郊外の松山というところに来てしまったので、さすがに間違えたことを悟る。駅のホームで時刻表を見て納得。途中で乗り換えなければいけなかったのだ。一時間待って、普通電車に乗り、瑞芳駅に着いたのは12時前だった。饅頭を買って、金瓜石行きのバスに乗る。
終点で降りるとすぐ前が黄金博物園区。戦前の日本家屋などを見ながら園内をゆっくり散策、昼食をした後、黄金博物館に入る。ここの目玉は、220kgの金塊に触れること。私も初めて体験した。
その後、黄金神社にのびる石の階段を登っていった。神社には先に2人づれが居たので、そのまま階段を登っていく。日本のゴールデンウイークのような気候で、風がさわやかで気分良くぐんぐん急坂を登っていった。登るほど、金瓜石の部落とその先の海がはっきり見えるようになった。とはいえ、息を切らせながらやっとのことで頂上へ到着。ここは露天掘りしていた場所で地質公園になっている。つい、いつもの習慣で、無造作に積んである捨て石から捨て石に移動しながら表面を観察する。20分ぐらい見ていると、多孔質で珪質の石に部分的であるが、黒くて金属光沢しているのが皮膜状に着いているのを見つけた。ルーペもハンマーも無いが、硫砒銅鉱であることを期待して、石を他の岩石に叩きつけてようやく小さな破片を手に入れた。
さて、帰りだが、元の急坂を700m降りるより、400m先に一般道に出る標識があったのでそちらに向かった。それが失敗。一般道からバス停にたどり着くまで、ずいぶん歩くはめになった。
次の日は人気の九ふんに行った。ぜんざいはおいしかったが、地質的にはなにも発見できなかった。
3月24日(月)
北投温泉へ
北投温泉は台北市内にあり、地下鉄で簡単に行ける。地下鉄駅から公園に沿って歩くと共同の露天風呂に着く。
ちょうど休憩時間だったのでそのまま地熱谷に向かって歩く。
ところが、訳はよく分からないが、閉鎖されていて入れない。まだ三時なのにだ。仕方ないので引き返して風呂にはいる。傾斜を利用して42度のお湯が4カ所の風呂に流れるようになっていて、下の方はぬるめになるというわけだ。いつものように顔を洗うと、目が痛い。しばらく浸かっていると小さなひっかき傷がチリチリする。相当酸性らしい。30分程度いろいろな温度の風呂に入った。
昨日、北投石の特徴、産状などをインターネットで調べた。この露天風呂の前を流れている河原で、表面が黄色に沈着した小石を拾って持ち帰った。採集した石は重くないので少し心配だが、まあ皮膜状に着いているのだから大丈夫でしょう。
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