イエローストーン国立公園と近辺のレクレーション鉱山を訪ねて by 松村 剛
長年行きたいと思っていたイエローストーン国立公園に行くことが決まりました。ついでに近辺の鉱山も回ってみたいと思い、amazon.comから「Fee Mining and Rockhounding Adventures in the West」という本など数冊を取り寄せました。送料は格安の10ドル程度で1週間後には届きました。観光と鉱物採集を兼ねたレンタカー8日間の旅を計画しました。その様子を報告します。
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7月12・13日(木・金) イエローストーン国立公園
- 一番有名な観光スポット、オールド・フェイスフル・ガイザーを中心に間欠泉めぐりをしました。
この時期は多くの観光客で駐車場も込み合い、駐車するのにしばらく待つ状況でした。
- 次は色の変化が美しいグランド・プリズマティック・スプリングです。この温泉の入り口より2km手前の駐車場所に車を止め、橋を渡ってトレイル道を歩くこと15分、温泉が遠くに見え始めたところの小山に上がる小道を登りました。スプリングの全容がよく見えるようになった山の中腹から写真を撮りました。色の変化全体を見渡すことができ、感激でした。次にスプリングのそばに行って見ると、小山からの俯瞰のすばらしさがますます納得できました。
翌日は、キャニオン・カントリーにある二つの雄大な滝を見学し、ロウワー滝の下まで降りて豪快な流れを実感しました。その後、南のイエローストーン湖をめぐり、もう一度オールド・フェイスフルの間欠泉を見学して終わりにしました。途中バッファローが停車した私の車の真横を通ったり、親子連れのグリズリーをレンジャーの望遠鏡で見せてもらったりと思わぬ野生動物との遭遇もありました。
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7月14日(土) レッド・ロック・鉱山のピンクガーネット
- ウエスト・イエローストーン(モンタナ州)の町からビュート(モンタナ州)に向かって走ること約1時間半、アルダーという小さな町はずれに、ガーネットの鉱山はありました。
バケツ一杯の砂が22ドル(現金に限る)。その砂を水の中でふるいを使って泥を落とし、ふるいの中にスポンジを入れてひっくり返します。ガーネットはほかの砂より重いので、ひっくり返した砂山の表面に多く出ているというわけです。それをピンセットでつまみます。3〜8mmの大きさですが、水にぬれたそのピンクや赤ワイン色は魅力的です。ほぼ2時間で作業は終了、30gほど取れました。あると聞いていたサファイアは見つけられませんでした。
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7月15日(日) ジェム・マウンテン・サファイア鉱山
- 宿泊したビュートから1時間半で、大きな看板が出ている場所に10時到着。
今日は日曜ということもあってか、20人あまりが既に作業を行っていました。小型のバケツ1杯が20ドル。サファイアを取り出す方法は昨日と同じです。が、スポンジがなく黒いゴムマットの上に打ち上げるので、すべての砂粒を点検していかなければなりません。サファイアを採集するのは初めての経験で、はじめはその粒の識別に手間取りましたが、慣れてくると簡単でした。とは言うものの、ルーペで見ても結晶の形ははっきりとせず、ずんぐりしたガラス質透明としか識別できません。大きさは3〜6mmで、水色、薄緑色、無色などです。皆さんと比較して、少し雑な作業でしたが、約1時間で18カラット取れました。
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7月16日(月) エメラルドクリーク・ガーネット・エリアのスターガーネット
- 今回の鉱物採集で最も行きたかったところです。
セント・マリーズ(アイダホ州)という田舎町から1時間、の予定がエメラルド・クリーク・ロードの入り口が見つからず2時間かかりました。入り口の案内板が小さく、スピードを出した車内から見えづらかったためです。
クリーク・ロードに入ってからは道なりに進んで、たどり着けました。ただし、このロードだけは未舗装の砂利道で時速20マイルの低速となります。採集場所は道路沿いの駐車場から500m山の中にあります。
ここは夏季の期間だけ森林局が開放しているところです。料金は10ドル。今日は月曜日ですが、私が行った時、既に15人ほどの人が取り組んでいました。山側の空き地の好きなところを掘って土砂をバケツに入れ、事務所前の広場でふるいを使ってより分けます。その後、ふるい分けた粒を、事務所横の水流を利用してきれいに泥をとり除き、ガーネットを探すようになっています。ここで初めて持参した園芸用の手袋が活躍、細かい泥を落とした後、ふるいに残った粒を手袋でしごくとガーネットはガラス光沢をして光ります。形が完全なものは少なく、多くが割れています。薄く割れた破片はきれいな赤ワイン色を示しますが、色が濃くほとんどは一見黒く見えます。運がいいとゴルフボールのほどの大きさが取れるそうですが、私の場合最大13mmでした。
ほぼ2時間作業をした後、お昼になったので終わりにしました。駐車場に戻り持参したパンを食べながら小川に下りると、川底は細かいピンク色のガーネットでいっぱいです。とてもきれいなので、少しすくっていただきました。
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7月17日(火) クリスタル公園
- 宿泊したミズーラ(アイダホ州)から4時間余りで、現地に到着。
途中のパイオニア・マウンテンズ・シニック・ハイウェイは国立森林公園の中を走る快適な道路で、時々立ち止まって小鳥の声や小川のせせらぎを聞くのも素敵です。高台には開拓当時の困難だった歴史的な案内板などもあり、昼食を食べながらすばらしい眺めを満喫しました。
この公園は森林局によって夏季の間だけ公開されています。料金は無料です。ただし、ふるいやシャベルは自分で持参しなければなりません。私は、100円ショップで買ったものを持っていきました。
さて、現地ですが、採集場所は山の斜面一面でとても範囲が広く、駐車場には車が10台ほどあるのに視界内の人の姿は数人だけです。皆さん日陰を求めて掘るためか、木の根元近くを掘っていて、根がむき出しになっています。
私も一ヶ所日陰の場所を決めて、掘ってみました。ふるいで土砂を除いた後、一つ一つの塊を転がしながら見ていくと、明らかに水晶の形のものやガラス光沢のものが現れてきます。私が掘った場所はほとんどが2cm程度の無色や白色のもので、日本のものとかわり映えしませんでしたが、両頭のものが多くあったり、3cmの薄墨色をした松茸水晶が取れたのは大満足でした。
今回の4箇所ではすべて土砂の中から鉱物を採集しましたが、それはこの辺りが氷河の堆積物で覆われていることを意味しているのだと私は思います。
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7月18日(水) ビンガム銅山
- 今回の採集旅行の最後に、ソルトレイクシティー近くのビンガム銅山に行きました。
予定していた宿2ヵ所ともいっぱいで、宿探しに時間を取られて現地到着は5時になりました。ちなみに7時に入場を締め切ります。
ビジターセンター前の広場から鉱山全体を望めるようになっていて、とても開放的です。曇りのせいで写真はぼんやりしていますが、規模の大きさには驚かされます。
20世紀になって本格的に露天掘りされて、その規模は今では世界一だそうです。宇宙船からも肉眼で見えるそうです。鉱石を運ぶ超大型トラックのゆっくりした動きを見ていると、壮大な事業であることが良く理解できます。
ちなみに、パンフレットによると、2002年、ソルトレイクシティーで開催された冬季オリンピックの金、銀、銅メダルはすべてこの鉱山が作ったそうです。
最後にショップに立ち寄りました。鉱物標本は手ごろな値段でたくさん販売していました。この鉱山のものはないようでしたが、せっかくなので、自然銅を記念に買いました。
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(2012)
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